七十二候 ・ 第四十六候 「 雷乃収声 ( かみなりすなわちこえをおさむ ) 」

秋分の初候に変わり、春から夏にかけて鳴り響いた雷が収まる頃となりました。

面白いことに、今回の候「雷乃収声」は、春分の末候

「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」と対になっています。

 

春分に鳴り始め、秋分に収まる雷、それは稲が育っていく時期と重なります。

そのため、昔の人は雷の光が稲を実らせると考えたそうです。

実際に雷は、気中の酸素や窒素に化学変化を起こさせ、天然の肥料の窒素酸化物を作り、

雨とともに大地に降り注ぎます。

この窒素酸化物は、窒素系の肥料と同じもので、稲や植物の成長を助けます。

椎茸などのキノコ類も、雷に反応して成長するのだそうです。

 

雷の放電によって起こる稲光を「稲妻」ともいいますが、

昔は「稲夫」と書いて「いなつま」と読んでいました。

この、雷光によって稲が実るという信仰から、雷を稲の夫、

すなわち「いなづま」と呼ぶようになったそうです。

「つま」は配偶者の意で、古くは夫婦や恋人が互いに相手を呼ぶ言葉で、

男女関係なく「妻」「夫」ともに「つま」といいました。

現代では「つま」という語に「妻」が用いられるため、「稲妻」になったと考えられています。

ちなみに雷は夏の季語ですが、稲妻としたときは秋の季語となります。

 

8月末になると田んぼは黄金色に変わり始め、実りのときを迎えます。

稲穂がたわわに実る陰暦8月の別名は「穂張り月」。

夏の空を騒がせていた大気も安定し、いよいよ本格的な秋がやってきます。

空の様子も夏とは異なり、入道雲の代わりにも秋の兆しである鱗雲が現れます。

雷が去れば本格的な秋の訪れです。