明日から七十二候が穀雨の初候に変わります。
だんだんと暖かくなり、野山だけでなく、水辺の葭も芽を吹きはじめる季節です。
夏には背を伸ばし、秋には黄金色の穂が風になびきます。
葦は「葭」とも、「蘆」とも書き、また「あし」は「悪(あ)し」にも通じていることから、
「善(よ)し」とも読まれます。
これは、日本独自の言霊思想に基づく忌み言葉のひとつです。
忌み言葉は、縁起が悪く忌みはばかって使用を避ける語ですが、
他にも梨を「有りの実」、披露宴の終わりなどを「お開き」、すり鉢を「あたり鉢」、
また河童を「旅の人」というものまであります。
葦の茎は、竹同様に中が空洞なので、軽くて丈夫です。
葦簀(よしず)や葦笛(あしぶえ)、茅葺き民家の屋根材などとして、
古くからさまざまな形で利用され、人々の暮らしに身近な植物でした。