季節の言葉 「 除夜の鐘 ( じょやのかね )」

「除夜」とは大晦日の夜のことで、大晦日を「除日」、12月を「除月」というのと同じで、

“古い年を除き去って新年を迎える”という意味です。

大晦日に除夜の鐘をつく風習は、室町時代に中国から伝わったもので、

人間の煩悩を打ち消すために、鐘を108回つき鳴らします。

除夜の鐘

仏教では、人間は「眼・耳・鼻・舌・身・意」の6つの感覚器官をもっており、

この六根それぞれが「好・悪・平」の3通りの受け取り方をします。

つまり6×3=18で、18の煩悩となり、この18の煩悩はさらに

「浄(きれい)・染(きたない)」の2つに分かれ、倍の36種の煩悩となり、

「前世・今世・来世」の3つの時世があるので、36×3=108つの煩悩になるといいます。

 

季節の言葉 「 門松 ( かどまつ )」

家の門口に立てる門松は、今では正月の飾りもののように思われていますが、

もとは年神さまを家に迎えるための道しるべであり、

降臨するための依代(よりしろ)の役割もありました。

そのため門松は、お正月飾りのなかで、最も重要なものとされています。

この年神さまとは、年が明けるとともに降臨し、新たな1年の幸せを授けてくれる神様で、

別名は「歳徳神」「正月さま」「若年さま」など。

門松

木に神が宿るという考えは、日本に古くからあるものですが、

中でも松は、神を「待つ」、「祀る」とかけて神と交わる神聖な木とされてきました。

松の他にも椿や楢、榊など、一年中葉を落とさない常緑樹が使われてきましたが、

いつしか神の魂が宿る木とされる松に限られるようになりました。

門松には竹も欠かせませんが、竹は鎌倉時代から加えられたもので、

まっすぐに伸びる竹に長寿を重ね、縁起を担いだそうです。

松飾り

昔は12月13日(地域によっては8日)の事始めの日は、「松迎え・門松取り」といって、

門松などお正月に使う松やお雑煮を煮るための薪をとりに行く日とされていました。

これは一家の主または新年の干支にあたる年男が、

新年の恵方にある山からとってくるのが習わしだったそう。

松飾り1

写真は松本市の牛伏寺にて。

次の七十二候の麦を探しに行った際に、偶然近くにあったので立ち寄ってみましたが、

とても立派な寺院でした。

この地域独自の少し変わった形の正月飾りも見られました。

季節の草花 「 万両 ( まんりょう )」

彩りが寂しくなる冬の頃、真っ赤に熟した万両の実がたわわに実ります。

その実の美しさと名前の縁起のよさから、お正月の飾りとして親しまれています。

お金にまつわる縁起木は万両だけでなく、それより実が少ない千両、百両、十両、一両もあり、

いずれも秋から冬にかけて赤い実が付きます。

万両

万両は江戸時代から栽培されている古典園芸植物のひとつで、

赤実が基本種ですが、白実のシロミノマンリョウ、黄実のキミノマンリョウなど

多数の園芸品種が存在することでも知られています。

千両は葉の上に、万両は葉の下に垂れ下がるように実をつけるため、

千両より万両のほうが重く見えることから、万両という名がついたそう。

十両

十両は「藪柑子(やぶこうじ)の別名で、秋の終わり、

葉陰にこっそりと隠れるように赤い実をつけます。

薮の中に自生していて、葉の形などが柑子=みかんに似ていることから名付けられました。

藪柑子は昔は「山橘(やまたちばな)」と言われ、『万葉集』をはじめ多くの歌に

詠まれてきましたが、そういえば、柑子も橘も同じ柑橘類の植物ですね。

七十二候・第六十五候 「麋角解 (さわしかのつのおつる)」

七十二候が冬至の次候に変わり、オス鹿の角が落ちる頃となりました。

メスの鹿は角が生えませんが、オスの鹿は一年に一度、
角が根元から自然にポロっと取れて、春にはまた新しい角が生え始めます。

「麋」とは、「なれしか」というトナカイの一種の大鹿、またはヘラジカのことだとされています。

鹿の角

写真は11月末に金沢の津幡森林公園で、ニホンジカの角をお借りして
撮影させていただきましたが、かなり重たかったです。

そして、ここには5頭のオス鹿がいたのですが、なぜが2頭のみ角があり、
他の3頭は根元で切られていました。

角のない鹿

理由を伺うとケンカするためだそうで、2頭だけ残してるのは
来園したお客さんがオス鹿とメス鹿の区別がつくようにとのことでした。

オス鹿

生え始めの角には、毛がはえていて柔らかく、中には血管も通っているのですが、
秋頃になると角の内部がだんだんと骨のように硬く変化するそうです。

こうして、まるで木の枝みたいな立派な角に変わっていきます。

角化する秋頃はちょうど鹿の発情期でもあり、ケンカをするため、
この時期にのこぎりで角を落としてしまうそうです。

鹿の発育順序

ところでオスのニホンジカは5歳までは、角を見ればある程度年齢が分かるといいます。

生まれた年はまだ角は生えませんが、2歳になると小さな角が1本生え、3歳で枝分かれします。
そして4歳になると3又に、最終的には4又の状態で成熟した大人となります。

毎年生え変わるたびに形が変わっていくなんて面白いですね。

雄鹿(3歳)

こちらは3歳のオス鹿です。

メス鹿

メスの鹿には角がありません。

七十二候 ・ 第六十四候 「 乃東生 ( なつかれくさしょうず ) 」

七十二候が冬至の初候に変わり、乃東が芽を出し始める頃となりました。

乃東とは、冬に芽をだし夏に枯れる「夏枯草(かこそう)」の古名で、

紫色の花を咲かせる「靫草(うつぼくさ)」の漢方名でもあります。

ウツボグサ

ウツボグサは、日当たりのよい山野の草地に群生し、夏至の頃に枯れていきますが、

この枯れて茶色くなった花穂が「夏枯草(かこそう)」です。

夏枯草は、古くから洋の東西を問わず漢方として用いられてきました。

 

この生薬を煎じて飲めば利尿、消炎作用があり、煎液はねんざ、腫物、浮腫の塗り薬として、

またうがい薬にも用います。

英名は「all-heal=全てを癒す」。

また和名は、花の形が矢を入れる「うつぼ」という道具に似ていることから付けられました。

 

今回の候「乃東生(なつかれくさしょうず)」は、

夏至の初候「乃東枯(なつかれくさかるる)」と対になっています。

二十四節気 「冬至 (とうじ)」

明日12月22日は二十四節気の一つにもなっている冬至です。

しかも、今年は19年に1度だけ訪れる「朔旦冬至(さくたんとうじ)」にあたります。

朔旦冬至とは、陰暦11月1日(朔日)の新月と冬至が重なる日で、

月の復活と太陽の復活が重なる日ということで、大変めでたいとされています。

冬至0

冬至は太陽が最も低い位置にあり、夏至とは反対に一年で最も昼が短く、

夜が長くなる日ですが、この日より徐々に日足が伸びていきます。

そのため、中国では「一陽来復(いちようらいふく)」といって、冬至の日を

極限まで弱まった太陽が復活する日、一年の始まりと考えられてきました。

世界各地で「太陽の誕生日」として祝う風習は多く見られ、クリスマスも冬至祭に由来しています。

 

暦の上では冬の半ばで、冬至を境に少しずつ日は長くなるとはいえ、

「冬至冬なか冬はじめ」という言葉もあるように、寒さはむしろこれからが本番です。

気候は冬至を過ぎる頃からますます寒くなり、年末の慌ただしさもあり体調を崩しがちな頃です。

そのため、この日に栄養価の高いかぼちゃを食べ、柚子湯に入り体を温め、

本格化する冬を前に無病息災を願います。

 

冬至かぼちゃは有名ですが、「冬至の七草」をご存知でしょうか?

かぼちゃ(なんきん)、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)。

これらの「ん」が2つつく食べ物を冬至七草といい、食べると運がつく、

風邪をひかない、出世すると言われています。

 

季節の言葉 「 夜着 ( よぎ )」

着物のような形をした大形の寝具を夜着といいます。

掛け布団の一種で袖と襟がついており、綿が厚く入っているので温かいのが特徴です。

昔は夜中に厠(かわや)に立つときなど、寒さを防ぐために

袖を通して上着として着て行ったそうです。

夜着

夜着と似たものに「掻巻(かいまき)」があります。

こちらも着物の形をした広袖つきの寝具の一つです。

夜着に比べて綿が薄めに入っており、袖付の下に三角形の襠(まち)の火打布がありません。

夜着より小ぶりなため別名は「小夜着」。

夜着は掛け布団として、掻巻は掛け布団の下に入れて用いました。

 

肩を包む形になるので防寒に適しましたが、

第2次世界大戦後は毛布の普及により、需要が減っていきました。

夜着、掻巻ともに冬の季語です。

夜着1

写真は秋田県角館の青柳家にある秋田郷土館にて撮影させていただきました。

寒冷地のためかなり厚く綿が入っているようです。

 

 

季節の草花 「 蘿藦 ( ががいも )」

九州以北の日当たりのよい山野や道端などで見られるガガイモは、

夏の季語で8月に淡紫色のビロードのようなふわっとした花を咲かせます。

実は長さ10cmほどでいぼ状の突起があり、冬には熟して2つに裂けます。

ガガイモ花

ガガイモは神代の時代から日本に存在する花として知られますが、

日本神話でスクナビコナの神が乗ってきたとされる「天之蘿摩船(あまのかがみのふね)」は、

2つに割れると舟形に見えるガガイモの実のことだそう。

ガガイモ

またガガイモの実には、びっしりと絹糸状の長い毛をもった種子が詰まっており、

実が割れるとタンポポの綿毛のように風に乗って飛んでいきます。

かっては、この毛を綿の代用としてお裁縫に使う針刺しや印肉に使用したようで、

民間伝承上の謎の生物ケサランパサランの正体はガガイモの種だとする説もあります。

ガガイモ種1

種子を乾燥させたものは生薬で「蘿藦子(らまし)」と呼び、

乾燥した葉や茎とともに滋養強壮に用いられます。

生の茎葉は解毒や腫れ物の貼り薬として使われ、また、茎を切ると白い乳液が出ますが、

これはイボや虫刺されに塗られ、種子の毛は傷口の止血に用いたそうです。

若芽・果実は強壮効果のある山菜として人気があり、

茹でて油炒めや煮物などの食用にもなります。

ガガイモ種

ガガイモの別名は、カガミイモ、乳草、シコイイ、スズメノマクラ、クサパンヤなど。

いずれの名も由来は諸説ありますが、芋に似た実を付けることからガガイモ、

カガミとは輝く実のことで種子の絹糸が銀色に光ることからカガミイモ、などとする説があります。

七十二候 ・ 第六十三候 「 鱖魚群 ( さけのうおむらがる ) 」

七十二候が大雪の末候に変わり、鮭が群れをなして川を上っていく頃となりました。

川で生まれた鮭は、海で大きく育ち、産卵のために故郷の川へと帰っていきます。

古来の人々はこの「鮭の遡上」を神秘的なものとしてとらえてきました。

 

鮭は海中で1~5年過ごすとされていますが、不思議なことに彼らは自分の生まれた川を

よく覚えており、長く海で生活した後でも、ほとんどの鮭はもとの川に戻ってくるそうです。

その理由は鮭の鋭い嗅覚によるものだと考えられています。

 

産卵のため一心不乱に遡上してくる鮭は、まったく食物もとらず、役目を終えると力尽きます。

こうして鮭は次の命を育んでいます。

旬の味覚 「 蜜柑 ( みかん ) 」

めっきり寒くなり、こたつでみかんが嬉しい季節になりました。

「蜜のように甘い柑子」が由来とされるみかんには、多数の品種がありますが、

普通に“みかん”と呼んでいるのは「温州(うんしゅう)みかん」のことで、

江戸時代に中国から伝わった種から偶然生まれたものだといいます。

みかん

果汁がみずみずしくビタミンCが豊富なみかんは、2個で1日分のビタミンCが

摂取できると言われ、風邪予防や肌荒れに効果的です。

他にもクエン酸や食物繊維など多くの栄養素が含まれています。

特に、袋や白いスジにはヘスペリジン(ビタミンP)が豊富に含まれているため、

袋やスジは取らずにそのまま食べることをおすすめします。

 

ヘスペリジンの含有量は袋で実の50倍、スジは実の100倍とも言われています。

動脈硬化やコレステロール血症に効果があるとされ、

血管そのものを丈夫にする働きがあるそうです。

ただ食べ過ぎると体が冷えてしまうので注意が必要です。

 

また、みかんの皮を乾燥させると陳皮(ちんぴ)という生薬になり、

胃もたれや消化促進、せきなどに効果があるとされます。

陳皮は七味唐辛子の原料の一つにもなっています。