七十二候 ・ 第三十五候 「 土潤溽暑 ( つちうるおいてむしあつし ) 」

暦が大暑の次候へと変わり、じっとりと熱気がまとわりつくような酷暑が続いています。

土が強い日光を受け、熱を発することや、熱そのものを指して「 土熱れ ( つちいきれ ) 」

と呼びますが、まさに、この時期の蒸し暑さを体現している言葉といえます。

また、蒸し暑いことを表す「 溽暑 ( じょくしょ ) 」は、陰暦6月の異称にもなっています。

 

よくニュースや新聞などで耳にする「夏日」や「真夏日」。

この二つの言葉の違いをご存知でしょうか。

「夏日」は最高気温が25度以上の日、「真夏日」は30度以上の日のことを指します。

また、35度以上の日は「猛暑日」と言われます。

この時期、夜になっても気温が下がらず、寝付けない日もありますよね。

このような一日の最低気温が25度以上の日は「熱帯夜」と呼ばれ、

真夏日や真冬日とともに、気候の統計値に用いられています。

鍾乳洞階段

先日、群馬県にある不二洞へ行ってきました。

洞内の全長は約2.2kmもあり、関東一の規模を誇るといわれています。

初めての鍾乳洞でしたが、一歩中に入ると空気がひんやり、まるで別世界。

この時期一番のお勧めスポットです。

鍾乳洞

こちらは不二洞の中で最も大きな「石筍」です。

石筍とは・・・辞書で引いてみると、

「鍾乳洞の床下に水が滴下し、含まれている炭酸カルシウムが

沈殿・堆積して生じた筍状の突起物」だそうです。

まさに神秘の一言です。

鍾乳洞出口

これは出口ですが、観光用に掘った現在の入り口がなかった昔はここが入口だったようです。

不二洞は、奈良時代に村人が猿を捕まえようとして偶然に発見されたと言われています。

鍾乳洞から出て、改めて全貌を眺めてみても、やはり普通のお山。

まさか中が鍾乳洞だとは思えません。

それを古の人々が偶然にも鍾乳洞を見つけたとなると、どれだけ驚いたことでしょう。

 

 

 

 

土用の丑の日

今日は土用の丑の日ですね。

連日猛暑続きで夏バテ気味の方も多いのではないでしょうか。

立秋前の夏の土用は、暑さが最も厳しく夏バテを起こしやすい時期であることから、

「土用しじみ」や「土用餅」、「土用卵」など昔から精のつくものを食べる風習がありました。

そして、土用の丑の日と言えばやはり「うなぎ」です。

 

実は、この日にうなぎを食べる風習を作ったのは、幕末の学者・平賀源内だそうです。

本来、うなぎの旬は冬眠を間近にして脂がのる冬であるため、

夏場はあまり売れなかったと言います。

そこで、源内が「丑の日に『う』のつくものを食べると夏負けしない」という伝承からヒントを得て、

「本日、土用丑の日」と書いた紙を張り出すよう鰻屋に助言したところ、大繁盛したということです。

 

うなぎは高タンパクで消化が良く、ビタミン類も豊富に含まれています。

そのため、夏痩せによいと万葉集に登場するほど、昔から精のつく魚とされてきました。

特に豊富なビタミンAは、感染症に対する抵抗力を強める栄養素であり、

ビタミンB1は食欲を増進させ、ビタミンB2はエネルギーを生み出します。

またビタミンDは骨を丈夫にし、ビタミンEは老化を防止してくれます。

そして、うな丼のカロリーは、カツ丼やネギトロ丼よりも低いのです。

低カロリーでビタミン豊富のうなぎ。

栄養学的に見ても、うなぎは夏真っ盛りのこの時期にぴったりのようですね。

 

ちなみに土用に食べる『う』のつく代表的な食べ物は、梅干し、胡瓜、冬瓜などの瓜類、うどんなど。

梅干しは疲労回復・肩凝り・食中毒の予防に、瓜類は利尿作用、水分補給に、

うどんは食欲不振の解消に一役買ってくれます。

七十二候 ・ 第三十四候 「 桐始結花 ( きりはじめてはなをむすぶ ) 」

暦が大暑の初候へと変わり、桐の花が実を結び始める頃になりました。

桐は、初夏に薄紫色の花を咲かせ、盛夏を迎える今頃、卵形の実を結びます。

そして、その横では早くも来年咲く花のつぼみがふくらみ始めています。

 

桐は、日本国内でとれる木材としては最も軽く、また、湿気に強い反面、

火気にも強いという変わった特質があります。

割れや狂いが少ないという、木材として申し分ない特徴を持ち、

古くから高級木材として重宝されてきました。

桐はタンスや米びつ、箏(こと)や下駄など幅広く使用されますが、

特に桐ダンスは、高級家具の代名詞です。

 

かつては日本では、女の子が生まれると桐を植えて、

嫁入りの際にはその桐でタンスを作り、嫁入り道具としたといいます。

桐は成長の早い木で、切ってもすぐ成長することから「切る」が転訛して

「きり」になったとも言われています。

 

普段目にする機会はなかなかない桐ですが、古来より桐は高貴な木とされ、

家紋や紋章の意匠に取り入れられてきました。

天皇家や日本政府、そして500円硬貨でも桐が使われています。

二十四節気 「 大暑 ( たいしょ ) 」

今日から二十四節気が大暑へと変わりました。

梅雨明け直後の最も夏らしく暑い時期です。

夕立ちや雷も多く、気温もこれからどんどん上がっていきます。

 

北陸や東北以外の地域は、ようやく梅雨明けしましたが、

梅雨明け後の10日間は、「梅雨明け十日」と言われ、

一年で最も暑さが厳しくなる頃です。

鰻を食べて精をつける「土用の丑の日」もこの頃ですね。

 

ところで、梅雨明けを教えてくれる花があることをご存知ですか?

それは、庭先や路肩などでよく見かける「立葵(タチアオイ)」という背丈の高い植物です。

ちょうど梅雨入りの頃に下から順番に花が開き始め、梅雨が明ける頃には、

まっすぐ延びた茎の先端まで咲きそろうと言われています。

そのため別名は、「梅雨葵(ツユアオイ)」。

タチアオイ

日本には古い時代に、薬用として中国から渡ってきたと言われていますが、

花がきれいなので、園芸用に品種改良がなされました。

花は一重や八重のもあり、色は赤、ピンク、白、紫、黄色など多彩です。

また、花の直径は大きなものでは10cm近くあります。

タチアオイアップ

これまで何となく見過ごしていた立葵ですが、

季節を教えてくる花だと知ったとき、咲くのが楽しみになりました。

写真は先週撮ったものですが、一足早く梅雨明けを宣言してくれていました。

海の日

今日は国民の祝日のひとつ「海の日」ですね。

「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としていますが、

世界の国々の中で「海の日」を国民の祝日としている国は日本だけだそうです。

制定当初は7月20日でしたが、2003年からは第3月曜日になっています。

学校では夏休みも始まり、海へ出かける方も増える頃ですね。

 

ところで海水浴ならぬ「海気浴」をご存知でしょうか。

海の近くで潮の香りいっぱいの空気を存分に吸い込み、リラックスするのが海気浴です。

昔は海水浴のことを、「潮ごり」、「潮湯治」と呼び、一種の療養とされていましたが、

海気浴もまた、心身の健康を取り戻す方法として見直されているそうです。

 

海辺では、打ち寄せる波やしぶきで、空気中に自然とマイナスイオンが多くなり、

また海気には「ヨード」というミネラルが含まれています。

ヨードは海藻などに含まれ、甲状腺ホルモンをつくるのに欠かせない栄養素で、

甲状腺ホルモンが不足すると、疲れやすくなったり、コレステロールの増加、

便秘などの原因になるといわれています。

海辺の潮風を吸い込むことで、ヨードを補給できるのも、海気浴の健康効果のひとつです。

 

そしてこの時期、海水浴で気を付けなければいけないのが、

突然の大波、いわいる「土用波」です。

夏型の穏やかな天気が続いているにもかかわらず、海岸には高い波が打ち寄せることがあり、

ちょうど夏の土用の頃に多いので、これを土用波と呼びます。

土用波は沖にある時はあまり目立ちませんが、海水浴場のように遠浅の海岸に入ると

突然波が高くなることがあるので注意が必要です。

雑節 「 夏の土用 」

今日から夏の土用入りです。

土用といえば「夏の土用」ですが、1年には土用と呼ばれる期間が4回あり、

四季の変わり目である、立春、立夏、立秋、立冬の前の各18日間を、「土用」といいます。

 

土用はもともと、「万物は、木・火・土・金・水の5つの組み合わせで成り立つ」

という考えの陰陽五行説からきていて、日本の四季の考え方も、

この五行説の影響を受けています。

 

「春は(木)、木が芽吹く季節」

「夏は(火)、熱暑の季節」

「秋は(金)、金属のようにひんやりする季節」

「冬は(水)、雪や氷の季節」

 

このように、四季に五行を割りふったとき、当然、どうしてもひとつ余ってしまいます。

そこで、各季節に入る前の18日間を「土」が支配する、季節の移行日と考えられ、

「土用」と言われるようになりました。

 

中でも夏の土用から最初の丑の日は、「土用の丑の日」と呼ばれています。

「丑の日」とは、十二支を日にちで当てはめて「丑」に当たる日のことなので、毎年異なります。

また、土用期間は18~19日なので、年によっては十二支が一回りして「丑の日」が2回あり、

それぞれ「一の丑」、「二の丑」と呼ばれます。

ちなみに、今年の土用の丑の日は、7月29日の火曜日です。

おいしい鰻を食べたいですね。

七十二候 ・ 第三十三候 「 鷹乃学習 ( たかすなわちわざをならう ) 」

暦は小暑の末候へと変わり、鷹のひなが巣立ちの準備をする頃となりました。

飛び方を覚え、獲物をとらえ、一人前になっていきます。

 

鷹は飛翔力が優れており、空中を自由自在に飛び回ることができますが、

獲物を捕まえる際のスピードは、最高で時速80キロにも達すると言われています。

また、「能ある鷹は爪を隠す」、「鳶が鷹を生む」などの諺が言い表すように、

鷹は知能指数が高いことでも知られています。

 

鷹は、鷹狩りに用いられるなど、猛禽類の中では昔から人に身近な存在でした。

鷹を巧みに扱い、狩りを行う「鷹狩り」は、紀元前およそ一千年前から、

中国やインドで行われていたそうです。

鷹を操る「鷹匠」は、古事記にも登場するほどの長い歴史を持っています。

 

「一富士二鷹三茄子」をはじめ縁起ものにも数えられたりと、

古くから日本人に親しまれてきた鷹ですが、

今ではすっかり減ってしまい、準絶滅危惧種に指定されています。

食物連鎖の頂点にいる猛禽類はもともと個体数が少なく、

生態系の豊かさを知る指標とされていますが、

彼らが生きていくには、それだけの豊かな自然の支えが必要なのです。

季節の花 「 紫陽花 ( あじさい ) 」

わが家では時おり、湧き水を汲みに行くのですが、

先週末、いつもの場所へ行ってみると紫陽花がたくさん咲いていました。

あじさい

「あじさい」の語源は「藍色が集まったもの」という意味の

「あづさい(集真藍)」が変化したものだと言われています。

土壌の酸性度により花の色が変わるのは有名ですが、

一般的には酸性ならば青系、アルカリ性ならば赤系と、

土のpHの違いにより、同じ株でも発色が異なります。

また、時間の経過によっても花の色は微妙に変化します。

紫陽花の花は最初は淡い黄緑色ですが、やがて白へと移り変わり、

咲きはじめは淡い水色や薄紅色に変わっていきます。

一雨ごとに色濃くなり、その七変化を追うのはこの季節の楽しみでもあります。

紫陽花つぼみ

一方、紫陽花の学名は、「ハイドランゲア」。

ラテン語で「水の器」を意味します。

紫陽花の枝を切ると、1時間もしないうちにしおれてしまうのは、

他の草花に比べて葉の気孔が多く、より多くの水分を失うためだそうです。

そして、紫陽花の花は乾燥に敏感なので、庭木に水をやる時の目安にもなるそうです。

 

わが家でも紫陽花を植えようと、先月道の駅で紫陽花を購入したのですが、

土を酸性に整えてから植え替えようと思い、しばらく鉢植えのままでした。

その後、3日程京都に旅行。帰ってきたらドライフラワーのようにカラッカラになっていました。

紫陽花の隣の萩と雪柳の鉢植えは無事だったのにと不思議だったのですが・・納得です。

やはり、紫陽花には雨が一番ですね。

水を好むことといい、紫陽花は梅雨時にぴったりの花のようです。

紫陽花レース

レースのように可憐な紫陽花も咲いていました。

いつもの水汲み場が隠れた紫陽花の名所と分かり、ちょっと得した気分です。

七十二候 ・ 第三十二候 「 蓮始華 ( はすはじめてひらく ) 」

蓮の花が開き始める頃となりました。

蓮は、夜が明けるのを待ってひっそりと花開き、午後に閉じますが、

これを3日間繰り返し、4日目、花びらは再び閉じることなく散っていきます。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という言葉のとおり、

優美で清らかな蓮の花は、天上の花にたとえられています。

蓮の花は昼過ぎには閉じてしまうので、見るなら涼気が残る早朝に出かけるのがよさそうです。

 

ハス(蓮)という名前は、花の中心部分が蜂の巣に似ているところから

ハチス(蜂巣)と呼ばれるようになり、やがて蓮と略されたと言われています。

また、「蓮」という漢字は、蓮の種子が連なるようにしてなることから、

草冠に連なるで「蓮」となったそうです。

 

蓮といえば古代蓮が有名ですね。

蓮の実の皮はとても厚く、土の中で長い歳月、発芽する力を保つといわれています。

1951年に千葉市検見川の泥層から発見された蓮の実は、現代に花を咲かせましたが、

約2千年前の弥生時代のものだといわれています。

これだけ長い歳月、泥に眠り続けている種子があるときふいと花開く、

蓮はまさに神秘の花ですね。

 

そしてご存知のとおり、地下茎はレンコンとして食べられますが、

花、葉、茎、種子なども食用になることがあるそうです。

地元の金沢は加賀野菜のひとつ、加賀れんこんの産地です。

小学校までの通学路は、田んぼが少しと、あとはレンコン畑でした。

雨上がりなんかは、みーんな傘で蓮の葉つついて水滴落として遊んでました。

クラスにレンコン農家の子がいて、レンコン掘りをさせてもらったこともあり、いい思い出です。

 

そういえば去年、石川県立美術館で漆器を見ていると、蓮を題材にしたものがありました。

特に気に留めていなかったのですが、近くにいた外国人の方に「蓮とは何か」と聞かれ・・

もちろん英語が流暢なわけもなく、結局絵に描いて説明しましたが軽いカルチャーショックでした。

そして、こんなに身近である野菜をさらっと説明できない自分にもちょっとショック。

やはりこういう時、英語ができたら素敵だなと思った出来事でした。

七十二候 ・ 第三十一候 「 温風至 ( あつかぜいたる ) 」

今日は朝から夏らしいにおいがする1日です。

暦も小暑の初候に変わり、夏の風が熱気を運んでくる頃となりました。

梅雨明けも間近ですが、集中豪雨なども起こりやすく注意が必要な時期でもあります。

 

「温風至」の温風とは、梅雨明けの頃に吹く南風のことで「 白南風 ( しろはえ ) 」と呼ばれます。

ちなみに梅雨の間に吹く南風は「 黒南風 ( くろはえ ) 」です。

どちらも亜熱帯から吹く温かく湿った風ですが、雨雲が覆う梅雨空では黒、

鮮やかな青い空の下では白と、風にも色をつけていたのですね。

これから日に日に暑さが増していきます。

 

庭の花菖蒲が満開になりました。

実はこの花菖蒲、3年ほど前に群馬県の赤堀花しょうぶ園で

長蛇の列に並んで、いただいてきたものです。

2株もらった花菖蒲は、ちょうど淡い紫、濃い紫の2種類でした。

それが今では何倍にも増え、ささやかながらこの時期の楽しみとなっています。

花菖蒲